皆様
この「つぶやき」は、教育プロデューサー、国際理解教育情報センター代表藤井誠が、日頃の雑感を中心に、活動状況を交えて発信しています。
テーマ「英国」
記念すべき「つぶやきNO20」は、英国ロンドンからです。10月26日〜11月8日の日程で、ロンドンからバーミンガム、リバプール、湖水地方、スターリング、フォートウイリアム、インバーネス、アバディーン、エジンバラーと訪れました。
さて、英国と言えば「揺りかごから墓場まで」が思い出されます。「生まれた時から生涯を終えるまで、政府が充分なサービスを保障します。」の代名詞です。世界の覇権を握っていた英国は、その後主導権を米国や日本に奪われ、やがて英国病と呼ばれる低迷期を迎えることとなります。ロンドン郊外の都市では、政府への不満から各地で暴動が起きました。中心部でも廃墟が目立ちました。政府や行政が全てのサービスを担う。国全体の税収が減少するなか、税金の引上げ。しかもサービスは低下する一方。さらに追い打ちをかけるように、行政機関の腐敗、ぬるま湯時代に出来た非効率的なサービスシステム。これではどうにも成らなくなって当り前でしょう。しかし経済的には、ビックバーンと呼ばれる思い切った改革で、見事に再生、復活した姿が印象的です。今では、ポンドのレートがそれを示すように、
ワンポンド「250円」以上です。私の経験では、低迷期のレートが100円前後だったと思うので、その頃から比べると凄い躍進です。一方、社会面では、思い切った「小さな政府」政策を断行し、国民の社会参加を求めました。市民社会の誕生です。時のサッチャー首相は「国民の皆さん、自分でできることは自分でして下さい。」と呼びかけ、徹底した姿勢で改革に挑み、後に「鉄の女サッチャー」と呼ばれる様になりました。このストーリー、ちょっと日本に似ていませんか?社会面は、NPO法制定や小さな政府のかけ声。政治の世界では、改革がスローガン。企業は、CSR(企業の社会的責任活動)に取組む。
私は、大和日英基金の支援で、91年から幾度か英国を訪問させていただきました。英国の復活と企業の社会参加、NPO活動、行政サービスのあり方、公共施設の運用、パートナーシップ等、本当に多くのことを学び、経験し、そして実践することができました。英国は、過去の栄光にしがみつき、暴動が起きて、どうにも成らなくなってからでないと動けなかった。または動かなかった。しかし、ビックバーンで門戸を開き、いち早く自らグローバル化に着手して、新しい時代を切り開いた。社会は、多民族で多様な社会環境に耐えうる底力がある。また、国民は住民ではなく、市民(志民)である。古来から、血を引き継ぐために、
自分のことは自分で守る考え方や闘う姿勢が底辺にある。この姿は、スコットランド、ウェールズ、イングランドなど、言語、考え方、文化などと頑固に向かい合う姿に現れている。多くのヨーロッパ諸国に見られる傾向だ。一方、官僚社会の日本は、国の統率的な政策運営で、戦後一早く復興を果たし、世界第二位の経済大国になった。その後、バブル崩壊を経験するが、世界的なグローバル化時代の恩恵を受けて、経済の立て直しに目処がついた。
その結果、特にグローバル企業は、創業以来の高収益、いざなぎ景気、バブル期をはるかに凌ぐ勢いだ。しかし、どん底を経験した英国と、中途半端に乗り切った日本では、国民は住民のままであり、行政改革、企業の社会参加等は、未だに棚上げ状態です。これから日本は、社会面における改革が待ったなしの状態です。改革は、痛みを負うものであり、また痛みがあるところから始まります。英国は暴動が起きました。そして変わりました。日本は、どのようにして変わることができるのか?結果的には、国民一人ひとりの意志に係る問題です。
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